会について

会の目的・趣旨

「学校法人のガバナンス改革を考える会」の目的は、公的役割を担う学校法人にふさわしいガバナンス改革のあり方を考え、意見や提言を述べることにある。
現在、学校法人のガバナンス改革の検討が進められているが、これまでガバナンス改革のあり方について公式に見解を述べているのは私立学校団体や学校法人関係者が中心である。私立学校団体、学校法人の関係者や教職員はガバナンス改革の当事者であり、改革のあり方の検討にあたってこうした利害関係者の意見ばかりが考慮されることは適切ではなく、学生及びその保護者、さらには学校法人への助成金の原資を負担する納税者たる国民の立場・目線からの意見も考慮される必要がある。そこで、教育、行政、経済、法律、会計等の各分野にわたる有識者が中心となって、学校法人のガバナンスのあり方を検討し、意見や提言を述べることを目的として、12名の発起人により設立されたのが本会である。
本会は、今後、本ウェブサイトにおける情報発信等の方法により、学校法人のガバナンス改革のあり方に関する意見や提言を公表していく予定である。

会の設立に至る経緯

近年、大学を設置している学校法人では経営を巡る不祥事が多数起こり、理事長が懲役の実刑判決を受けたり、理事が背任容疑で逮捕されたりする例が相次ぎ、大きな社会問題となっている。学校法人全体に対するガバナンス体制不備も繰り返し指摘されている。
また、日本の大学の国際的な評価が低下し、少子化もあいまって現状のままでは私立大学の経営が成り立たなくなる事態の到来が予想され、学校法人の経営力の強化が喫緊の課題になっている。そうした中で、公益法人として破格の税制上の恩典を受け、税を通じた実質的な補助金(tax expenditure)だけでなく、さらに多額の助成金も国から享受する、学校法人の経営の透明性を強化し、アカウンタビリティを徹底するガバナンス体制の抜本整備は焦眉の急である。

こうした中で、政府が2019年6月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019」において、「公益法人としての学校法人制度についても、社会福祉法人制度改革や公益社団・財団法人制度の改革を十分踏まえ、同等のガバナンス機能が発揮できる制度改正のため、速やかに検討を行う」との方向性が明示された。
これを受け、2020年1月に「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」が設置され、2021年3月に「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性について」が報告、公表されたが、ガバナンスの抜本強化の具体的提案についてはさらなる検討が必要とされた。
そのため、2021年6月18日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」においてさらなる抜本改革の議論の必要性が示され、文部科学大臣直属の会議として文部科学事務次官決定により外部有識者で構成される「学校法人ガバナンス改革会議」が設置された。改革会議に求められたガバナンス改革案の検討事項は、①新法人制度の改革案、②規模等に応じた取り扱い、③「ガバナンス・コード」の抜本改革案であった。
改革会議は計11回の会議を経て、2021年12月、評議員会を最高監督、議決機関と定めるとともに、監督機能の実効性を担保するため、現役の理事、監事及び使用人(教職員)との兼任は認めず、その選任も理事又は理事会において行うことを認めないこと、理事の選任・解任権を評議員会に与えること、学校法人の機関として新たに会計監査人の設置を義務付けること等を内容とするガバナンス改革案をまとめた報告書を作成し、文部科学大臣に報告した。本報告書は、改革会議に求められた検討事項のうち、①及び②の検討結果をまとめたものであり、③はその後に検討することとされたものである。

本来であれば、改革会議の報告を受けて、法制化に向けた手続が進められることが想定されていたにもかかわらず、文部科学省は、2022年1月になって、大学設置・学校法人審議会の下に「学校法人制度改革特別委員会」を設置し、学校法人のガバナンス改革に関する検討を求めることとした。このような異例の経緯をたどることとなった背景には、改革会議の提言内容に対して私立学校団体等からの反発があったためであると報じられている。
これを受けて、改革会議の委員であったメンバーが中心となり、そこに教育界や経済界の有識者も加わって発起人となり、学校法人のガバナンス改革のあり方を考えて意見や提言を行うため、本会が設置されることとなった。
こうした学校法人のガバナンス改革をめぐる文部科学省の対応の混乱は、多くの国民に、国の行政組織におけるガバナンス不全の懸念をもたらすものである。本会としては、こうした国全体のガバナンスのあり方についても検討していきたいと考えている。

発起人等の構成

石井 尚子

桜通り法律事務所弁護士

岡田 譲治

1951年10月10日生まれ

  • 三井物産株式会社代表取締役 副社長執行役員CFO
  • 同社常勤監査役
  • 公益社団法人日本監査役協会会長
  • 日本航空株式会社社外監査役(現任)
  • 日本取引所自主規制法人外部理事(現任)
  • 金融庁企業会計審議会委員 (現任)
  • スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議メンバー

久保利 英明(発起人代表)

日比谷パーク法律事務所 代表弁護士
桐蔭コンプライアンス・リサーチ教育センター長

経歴

  • 1971年4月弁護士登録(第二東京弁護士会)
  • 1998年4月1日 日比谷パーク法律事務所開設
  • 2001年度第二東京弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長(任期1年)

現職

  • 日本銀行コンプライアンス会議メンバー
  • ソースネクスト株式会社 社外取締役
  • 一般社団法人日本取締役協会 幹事

歴任

  • 野村ホールディングス株式会社 社外取締役
  • 日本取引所自主規制法人 外部理事
  • 農林中央金庫 経営管理委員
  • 株式会社日本取引所グループ 社外取締役

酒井 邦彦

  • 最高検察庁総務部長
  • 法務総合研究所長
  • 広島高等検察庁検事長
  • TMI総合法律事務所顧問弁護士

野村 修也

八田 進二

青山学院大学名誉教授/大原大学院大学会計研究科教授

学歴

  • 慶應義塾大学経済学部卒業
  • 早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了
  • 慶慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学
  • 博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)

社会における主な活動等

  • 日本内部統制研究学会会長
  • 会計大学院協会理事長
  • 金融庁企業会計審議会委員(内部統制部会長・監査部会長)
  • 金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」座長
  • 文部科学省「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」委員
  • 文部科学省「学校法人ガバナンス改革会議」委員
  • 日本公認会計士協会「倫理委員会有識者懇談会」議長

また、複数の企業等の社外監査役および監事を務めている。

増田 宏一

現職

  • 文部科学省 学校法人ガバナンス改革会議座長
  • 日本公認会計士協会 相談役
  • 第一生命ホールディングス株式会社 社外取締役(監査等委員)
  • 株式会社第四北越フィナンシャルグループ 社外取締役(監査等委員)

略歴

  • 1969年公認会計士登録1992年 監査法人朝日新和会計社(現有限責任あずさ監査法人)代表社員
  • 2007年 日本公認会計士協会会長
  • 2010年 会長退任以降NKSJ(現SONPO)ホールディングス株式会社社外監査役、エーザイ株式会社社外取締役(監査委員長)など数社の社外役員を務める。その間、日本取引所自主規制法人理事、公益法人財務会計基準機構理事、評議員、評議員会議長、公益法人日本生産性本部評議員、金融庁金融審議会専門委員などを務める。

宮内 義彦

  • 1960年8月 日綿實業株式会社(現 双日株式会社)入社
  • 1964年4月 オリエント・リース株式会社(現 オリックス株式会社)入社
  • 1970年3月 オリックス株式会社取締役
  • 1980年12月 同社代表取締役社長・グループCEO
  • 2000年4月 同社代表取締役会長・グループCEO
  • 2003年6月 同社取締役 兼 代表執行役会長・グループCEO
  • 2014年6月 同社シニア・チェアマン(現任)
  • 2006年4月 株式会社ACCESS 社外取締役
  • 2015年6月 三菱UFJ証券ホールディングス株式会社 社外取締役
  • 2017年6月 カルビー株式会社 社外取締役
  • 2019年10月 ラクスル株式会社 社外取締役
  • 2020年5月 株式会社ニトリホールディングス 社外取締役

斉藤 惇

2015年8月にKKRジャパンに会長として参画、2017年12月よりKKR Global Institute シニアフェローに就任。
2017年11月より日本野球機構会長も務める。
KKR以前は、2013年1月から2015年6月まで株式会社日本取引所グループの取締役兼代表執行役グループCEOとして日本の株式市場の発展に尽力した。
同社発足以前は、2007年6月より東京証券取引所の代表取締役社長、同年8月からは株式会社東京証券取引所グループの取締役兼代表執行役社長を兼任し、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合を指揮した。
野村証券株式会社代表取締役副社長、住友ライフ・インベストメント株式会社の代表取締役社長・会長等を歴任した後、2003年4月より2007年5月まで株式会社産業再生機構の代表取締役社長として日本の不良債権問題解決や企業の事業再生に貢献した。
慶應義塾大学商学部で学士号取得。

坂東 眞理子

昭和女子大学 理事長・総長

経歴

  • 1969年 総理府内閣府 入省
  • 1995年 埼玉県副知事
  • 1998年 オーストラリアブリスベン総領事
  • 2001年 内閣府男女共同参画局長
  • 2007年 昭和女子大学 学長
  • 2016年 昭和女子大学 理事長・総長

現職

  • 一般財団法人東京学校支援機構 理事長
  • 社会福祉法人SHOWA 理事長
  • MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 社外取締役
  • 株式会社 三菱総合研究所 社外取締役
  • 農林中央金庫 経営管理委員
  • 学校法人 東京インターナショナルスクール評議員
  • 一般社団法人 大学基準協会 理事

著書
300万部を超える『女性の品格』の他、50冊以上書著多数。

藤沼 亜起

略歴
藤沼亜起氏は公認会計士で日本公認会計士協会元会長(現在相談役)、国際会計士連盟(IFAC)元会長、IFRS財団評議員会元副議長、日本不正検査士協会理事長、中央大学大学院ビジネススクールフェロー、学校法人千葉学園監事 及び上場企業等の社外役員(取締役又は監査役)を務める。

公認会計士

  • (2004~2007年)日本公認会計士協会 元会長(現在は相談役)
  • (2000~2002年)国際会計士連盟(IFAC) 元会長
  • (2005~2014年)IFRS財団Trustees(評議員、元副議長)

公認不正検査士

  • (2018~現在)社団法人日本公認不正検査士協会 理事長

私立大学での経験

  • (2008~2015年)中央大学大学院(ビジネススクール)特任教授
  • (2015年~現在)同上ビジネススクール(CBS)フェロー
  • (2017~現在)学校法人千葉学園 監事

上場会社の社外役員
2007年以降は東京証券所株式会社をはじめ複数の会社の社外役員(取締役又は監査役)を務める

北城 恪太郎

日本アイ・ビー・エム株式会社名誉相談役

企業経営関係の役職歴

  • 日本アイ・ビー・エム株式会社社長・会長
  • 経済同友会代表幹事
  • 旭硝子(現AGC)株式会社社外取締役
  • オムロン株式会社社外取締役
  • サイジニア株式会社社外取締役

公的役職歴

  • 文部科学省中央教育審議会委員
  • 文部科学省「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」委員
  • 人事院国家公務員倫理審査会委員
  • 内閣府男女共同参画推進連携会議議長
  • 消費者庁「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」委員

教育関係の役職歴

  • 国際基督教大学理事長・評議員
  • 慶應義塾評議員
  • 国際大学理事
  • 京都大学経営協議会委員
  • 大学院大学至善館評議員
  • ソニー学園湘北短期大学評議員
  • 関東学院経営協議会学外委員
  • 海城学園評議員
  • 特定非営利活動法人大学経営協会副理事長

以上

小川 尚史(事務局長)

日比谷パーク法律事務所弁護士

  • 2006年東京大学法学部卒業
  • 2008年東京大学法科大学院修了、同年司法試験合格
  • 2009年弁護士登録、日比谷パーク法律事務所入所